成長ホルモン分泌不全性低身長は、脳の下垂体から分泌される成長ホルモンが、通常より少ないために起きる疾患です。

身長の伸びが悪く、低身長になります。男の子に多く、発症率は1万人当たり男児2.14人、女児0.71人です。

原因は下垂体近傍の腫瘍によるものが10~15%にみられますが、多くは原因不明の特発性です。

成長ホルモンの測定は、1回の採血では難しく、成長ホルモンを分泌させる薬剤を投与し、それに反応して分泌される成長ホルモン値で診断します。これを成長ホルモン分泌刺激試験といいます。この最大分泌濃度が6ng/ml以下を成長ホルモン分泌不全と診断します。

診断確定後、頭部MRIで脳腫瘍の確認、また前葉ホルモンの分泌障害の有無を調べます。

成長ホルモンの補充を行います。成長ホルモンはタンパク質なので、内服すると胃で分解されてしまい、効果が発揮できません。注射で補完する必要があります。

注射といっても自己注射で、家庭で親や本人が打ちます。本人ができないうちは親が、できるようになったら本人が、通常、夜寝る前、週に6~7回注射します。

脳下垂体前葉は、成長ホルモン以外にも甲状腺ホルモンや副腎皮質刺激ホルモンなど多くの種類のホルモンを分泌しているので、分泌不全を合併することがあります。その場合には、それぞれのホルモン補充が必要になります。