呼吸窮迫症候群は、肺を広げるために必要な肺サーファクタントと呼ばれる物質が不足するために起こる病気です。

出生後に呼吸が速かったり(多呼吸)、うなったり(呻吟=しんぎん)、息を吸い込むときに胸郭がへこんだりします(陥没呼吸)。

胸部レントゲン検査や血液検査などで、新生児一過性多呼吸や胎盤吸引症候群、気胸、感染症との鑑別を行います。

通常は、妊娠8カ月(妊娠31週)までに生まれた赤ちゃんに多くみられますが、お母さんが糖尿病の場合や帝王切開で生まれるときには9カ月前半の赤ちゃんでも発症することがあります。

早産の可能性が高い場合は、肺を成熟させる目的でお母さんにステロイド治療を行うことがあります。

治療は、酸素を投与し、肺に圧をかける持続陽圧換気治療(CPAP)を行います。重症の場合には、気管に管を入れ、人工肺サーファクタントを注入します。なるべく早期に人工サーファクタントを補充したほうがよいため、生まれてすぐにこの治療を行うこともあります。

呼吸窮迫症候群を発症するような早産の赤ちゃんは呼吸の問題だけでなく、循環や栄養の問題もあるため、新生児集中治療室(NICU)にて治療を行います。