腹痛は子どもに多い症状です。腹痛の原因となる病気は幅が広く、病態を理解した適切な診断が必要です。

急性の腹痛の多くは、ウイルス性胃腸炎や便秘症など比較的軽症な病気です。ただ中には、腸重積症、急性虫垂炎など急性腹症といわれる緊急に外科的手術が必要な重症の病気もあるので、注意深く経過をみることが必要です。

2~3週間を超えて続くような慢性の腹痛の場合、臓器に問題がある器質的な病気があるのか、臓器の異常が見当たらない機能性の病気なのか、心理的社会的要素が関係していないかを調べていく必要があります。

心の不安や葛藤が体に現れる心身症のような場合は、心身の総合的なアプローチを必要とする場合もあります。

腹痛に伴い、下痢や嘔吐、発熱などの随伴症状があるかどうかで、どの臓器に由来する腹痛かを判断できます。

激しい腹痛を繰り返すようなときは血液検査や腹部超音波検査、腹部X線検査を行うことと、外科手術など緊急の治療をすることもあります。

原因が明らかでない腹痛として機能性消化管障害があります。これは、薬物療法、生活指導、心理社会的要因の調整などの治療が必要です。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 腹痛の初期には鑑別が困難で、あとから虫垂炎や腸重積症などを合併してくることもあります。受診後もお子さんの様子を注意深く観察し、他の症状を伴うようなら、すぐに医療機関及び地域の夜間電話相談に相談しましょう。