皮膚の紫斑、関節の痛みと腫れ、腹痛などの症状を呈する血管性紫斑病の炎症が、腎臓に起こることがあります。これを紫斑病性腎炎といいます。

糸球体腎炎の合併が、血管性紫斑病の20〜50%にみられます。ほとんどは血管性紫斑病の発症から6カ月以内に起こります。紫斑病の他の症状は自然によくなりますが、腎炎は症状の程度によっては治療の必要が出てきます。

重症の腎炎は腎機能に影響するため、紫斑病にとってはその重症度はきわめて重要です。尿検査による蛋白尿から腎炎は発見されますが、血圧が高くなったり、むくみが出たりすることから、腎炎に気づくこともあります。

症状が中等度以上の場合は、腎臓の組織の一部を採って顕微鏡で調べる腎生検を行い、診断をつけたり、病気の重症度を確定したりします。

血尿のみの軽症の腎炎の場合、多くは治療をしなくても自然に治ります。しかし、中等度以上の、より重症の腎炎では、入院のうえ、ステロイドを大量に注射するステロイドパルス療法や免疫抑制薬の投与による治療が必要となります。

血管性紫斑病自体も再発しやすく、その都度、尿検査による腎炎の有無を調べる必要があります。

腎炎は軽快しても、妊娠などを契機に腎機能が悪化することがあるので、特に中等度や重症の腎炎で治療を受けた人は、長期にわたって腎機能の推移に注意する必要があります。