起立性調節障害は、自律神経の働きが低下し、起立時に体や脳への血流が低下して起きる病気です。
原因は、脳の自律神経中枢の機能が悪く、その結果、交感神経と副交感神経のバランスが取れなくなって生じるとみられます。遺伝的な体質や精神的ストレスも大きく影響します。
症状としては、立ちくらみ、めまい、失神、朝起き困難、全身倦怠、頭痛などがあげられます。症状は午前中に強く、午後には回復し、夜には元気になって眼がさえ、眠れなくなります。そのため、家族には学校嫌いや怠け者に映ることがあります。
親は病気を正しく理解し、これは身体の病気であって気の持ちようで解決できる病気ではないことを自覚しましょう。叱咤激励は避け、いつも味方、一緒に治そうと本人にメッセージを伝えることが大切です。
日常行動では、脳の血流を低下させない工夫をします。起立するときはいきなり立ち上がらない、歩き始めるときは頭位を前屈させる、起立中は足踏みをしたり両足をクロスさせるなどを心がけます。
早寝早起きなど生活のリズムを大切にしましょう。しかし、実行困難のときは、親は声掛け程度にします。
衣類は下半身への血液貯留を防ぐため、弾性ストッキングや加圧式腹部バンドなどを利用するといいでしょう。
必要に応じて、薬物療法や心理療法を取り入れて、治療します。
定期的に起立試験やヘッドアップティルトテストをしてもらいましょう。