肺水腫は、肺の血管の外に液体がたまった状態をいいます。そのため肺に酸素を取り込めなくなり呼吸不全を起こし、放置すれば命にかかわります。早めの診断と入院治療が必要です。

症状は、急に息切れや呼吸困難を自覚します。咳や痰が出て、ゼーゼーヒューヒューすることもあります。

肺水腫はさまざまな疾患に伴って発症します。

心筋梗塞、高血圧性心疾患、弁膜症、不整脈、心筋症など心臓疾患に伴う急性左心不全の場合は、ピンク状の痰、夜間の呼吸困難や心臓ぜんそく、仰向けに寝られない起坐呼吸(きざこきゅう)など、特有の症状がみられます。

肺炎、誤嚥(ごえん)、敗血症、大やけどなどに伴う、急性呼吸窮迫症候群といわれる肺水腫は、肺の組織障害がひどく、予後は不良です。

その他、まれなものとして、輸血に際して発症する肺水腫、気胸に対する脱期療法に伴う肺水腫、脳血管障害に伴って発症する肺水腫、2,500m以上の高地で発症する高地肺水腫、褐色細胞腫に伴って発症する肺水腫、上気道の閉塞に伴って発症する肺水腫などがあります。

治療は、心臓疾患が原因の肺水腫と、非心原性の肺水腫とに大別され、専門医による診断と治療が必要です。早期に専門医を受診することが大事です。

肺水腫と診断されれば、原則として入院加療になります。

心臓疾患に伴う肺水腫は、原因となりうる基礎疾患の治療が肺水腫の予防になります。

急性呼吸窮迫症候群では、基礎疾患(危険因子)の治療とともに呼吸管理や全身管理が必要となります。