びまん性肺胞出血とは、肺の末梢にある血管が破たんし、左右の肺で出血が起きる病気です。気管支拡張症や肺がんなど気管支や肺局所からの出血は含まれません。
症状としては喀血や血痰が主症状です。大量の喀血は比較的まれで、明らかな血痰を認めない場合もあります。進行すると呼吸困難をきたすことがあります。その他、貧血症状や、血尿・腎不全・皮膚症状など、原因疾患による他の臓器の症状を伴うことがあります。
原因としては、抗好中球細胞質抗体関連血管炎やSLEなどの膠原病などの疾患による肺胞の毛細血管の炎症(血管炎)による場合と、急性呼吸促迫症候群や骨髄移植後に起きるびまん性肺胞損傷などの血管炎以外の場合とに大別されます。
検査では、血液検査、尿検査、動脈血ガス分析、胸部画像検査、必要に応じて気管支内視鏡検査、各種生検などを行います。
治療は、大量に喀血したときは血塊による窒息を防ぐために、気管挿管と吸引による気道確保を行います。
呼吸不全を呈したときは酸素投与を行い、改善しない場合には、気管挿管や人工呼吸管理を行います。
貧血が高度の場合には輸血を行い、腎機能が悪化している場合には点滴と利尿薬を使用します。腎不全が進行するときは早急な血液透析を始めます。
ステロイド療法を行うことがあり、また免疫抑制剤が必要になることもあります。
検査で原因疾患が確定したら、原因に応じた治療を行います。原因疾患には難治性のものもあり、また重症化したり再発したりする可能性もあるため、専門医による定期的なフォローが必要です。
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