肺非結核性抗酸菌症(肺NTM症)の原因菌である抗酸菌は、結核菌と同じ仲間で、水回りや土壌などに多く棲息します。人から人へは感染せず、感染能力も低い菌です。

どのような人に感染し、NTMを発症させるのかは明らかになっていませんが、中年以降のやせ型の女性や非喫煙者に多い傾向がみられます。

自覚症状がなく、検診などで偶然に発見されることがあります。症状がある場合は、咳や痰、血痰や喀血、全身倦怠などがみられ、進行すると、発熱、食欲不振、呼吸困難などがみられます。

診断は胸部画像検査と喀痰培養で、数回、菌を検出して確定します。診断がついても、病気が進行するとは限らず治療が不要な場合も多々あるので、専門医に相談しましょう。

治療には、クラリスロマイシン、リファンピシン、エタンブトールなどの複数の薬を使用します。指示通りに飲むことが大事です。菌が出なくなっても1年くらい続けます。

薬ではよくならない場合には病巣を手術することもあります。

病気が進み、呼吸不全になると入院治療や酸素療法が必要になることがあります。

ゆっくりと進行するので、病気とわかったら、症状がなくても定期的な経過観察が必要です。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 喫煙者は禁煙しましょう。
  • 自己判断で薬の服用を勝手に中止しないようにしましょう。治療を中止すると、約3分の1の割合で、再び喀痰から菌が認められるようになります。