反回神経とは、声帯を動かす神経です。反回神経麻痺は、反回神経がうまく動かなくなり、声帯が麻痺する病気です。

声帯の動きが鈍くなり、発声の際、左右の声帯が完全に閉鎖しないため、音性障害や嚥下障害が生じます。かすれ声やしわがれ声、弱々しい声になり、ときに呼吸時の喘鳴(ぜんめい=ゼーゼー、ヒューヒューとした呼吸音)も伴います。飲食物を飲み込むときに、むせることもあります。

全身麻酔後やウイルス感染後に見られるほか、頸部から胸部の悪性腫瘍の発症が原因になることもあります。原因が特定できない場合も少なくありません。

原因を探るために、頭部・頸部・胸部の画像検査を行い、気管支鏡検査、超音波、CT画像を利用し悪性腫瘍の病巣に針を刺し組織を採取して調べるCTガイド下生検により診断をつけます。

治療は原因によって異なります。急性の場合は薬物療法を試みることもあります。

日常生活面では、しわがれ声や声がれを増悪させる喫煙や飲酒を避け、プレッシャーがかかる努力発声(大きな声を出さなければと大声を出すなど)を避けるようにしましょう。

声帯を動かす筋肉の活動を活発にして声門が閉じるのを防ぎ、また、発声に必要な呼気力を促すために発声訓練を行います。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 退院後しばらくは胸腔内圧が上がるので、激しい運動は控えましょう。