不定愁訴とは、これといって病気などの異常はないものの生じる不快症状をいいます。不快症状は、頭重・頭痛、吐き気・嘔吐、発汗、イライラ・疲労感などざまざまです。

閉経の前後5年間を更年期といい、閉経に伴う女性ホルモン(エストロゲン)が低下するため、更年期障害が起きます。その症状は多彩で、いわゆる不定愁訴が多いです。

更年期障害は更年期の女性の50~80%に現れるといわれています。

更年期は、子どもの巣立ち、親の介護、夫の定年など家庭でも社会でもいろいろな問題が生じる時期にあたり、これらがストレスとなって、症状をより重くします。

更年期が過ぎると不定愁訴は軽快することが多いです。

治療者にとっては、いわゆる不定愁訴であっても、患者にとっては生死にかかわると思える症状であるため、真摯に対応することが望まれます。

更年期障害と思っていても重大な病気が隠れていることがありますから、必要に応じた検査は必要です。

更年期障害の治療としては、薬物療法と非薬物療法があります。薬物療法では、減少した女性ホルモンを補うホルモン補充療法(HRT)、漢方薬を用いた漢方療法のほか、精神安定剤や抗うつ薬などが用いられます。非薬物療法としてはカウンセリングや心理療法があります。

更年期外来を受診し、担当医やカウンセラーと話をするだけで症状が軽くなることがあります。

市販のサプリメントを飲んでいる場合は、医師にその旨を伝えましょう。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • バランスのよい食事をとりましょう。
  • 適度な運動や趣味で気分転換をはかったり、自分の悩みを人に話したりして、抱えるストレスをマネージメントしてみましょう。
  • 「何すべき」と、べき思考に固執したり、「あの人はこうだから私も」と、他人と自分を比較したりするのはやめましょう。