子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)は、ほとんどがヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染で発症する子宮頸がんの前がん病変です。

CINの高リスク因子は、喫煙、免疫能の低下、ステロイドの長期使用、免疫抑制剤の使用です。

CIN はコルポスコピー(腟拡大鏡を用いた検査)と生検による組織検査で診断され、広がりの程度によって3段階CIN 1~3に分けられます。

CIN1の場合、大部分は自然消退します。特に30歳未満の若年女性では進展は少なく、約90%が自然消退します。

CIN2の場合、相当数が自然消退します。

CIN3の場合、自然消退することは少なく、多くは存続して浸潤がんに進展します。

CINは数年から10数年で浸潤がんに進展します。

浸潤がんへの進展は、CINの1では1%、2では5%、3では12%以上です。

CINの1、2は注意深く経過を観察します。3は早めに治療します。治療は妊娠機能温存手術が可能です。

経過観察では毎回、細胞診とコルポスコピー・生検を中心に検査を行います。

CINの1、2がなかなか自然消退しないときは、進展リスクを調べるために、HPVタイピング検査(遺伝子でHPVのタイプを調べる検査)を保険適用で行うことができます。

HPVタイピング検査で、HPV16、18、31、33、35、45、52、58のいずれかが陽性の場合、病変の進展リスクが高くなります。それ以外のHPV陽性例やHPV陰性例とは分けて管理します。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 体の疲れがたまらないように日常の健康管理に留意しましょう。
  • 喫煙習慣があれば直ちに禁煙し、受動喫煙も避けるようにしましょう。