子宮頸がんのほとんどはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染により起こります。このウイルスはありふれたもので、成熟した健康な女性ならば、一生に1度は感染するといわれます。つまり、女性の誰もが子宮頸がんになる可能性があります。HPVワクチンは、この子宮頸がんを予防します。

子宮頸がんを発症しやすいウイルスには、HPV16型と18型があります。HPVワクチンは、この16型と18型の感染を予防するワクチンです。

HPVワクチンの接種は大人になってからでは遅く、病気の原因であるウイルスに感染していない9歳以上の若い時期に接種して、その後の感染を予防するのが効率的とされます。

HPVワクチンは、上腕部に筋肉注射で接種します。接種は半年間3回行い、十分な抗体をつくります。

日本では2011年から、中学1年(自治体によっては小学6年)から高校1年の女子に、公費負担によるHPVワクチンの無料接種が行われています。

思春期の女子にHPVワクチンを接種すると、子宮頸がんをおよそ70%予防することができます。成人女性にも効果が期待できます。

ただし、すでに感染しているHPVウイルスの排除や、子宮頸がんの前がん病変やがんを治療する効果はありません。

接種期間の途中で妊娠した場合は、その後の接種は一時中断し、出産後に接種を再開します。これによって効果が落ちることはありません。

副作用として、注射部分が痛んだり腫れたりすることがありますが、数日間程度で治ります。また、接種後立ったままでいると動悸や息苦しさを感じ、失神することがあるので安静にしていましょう。