子宮内膜というのは子宮の内側の膜です。子宮内膜症は、この子宮内膜が子宮の中ではなく、子宮の外側にできる病気です。女性の10%が子宮内膜症といわれます。

子宮内膜は、ホルモンの働きで増殖し、月経時にはがれて排出します。子宮内膜症の場合も子宮の外で増殖しはがれますが、排出場所がないのでお腹の中にたまり、卵巣チョコレートのう胞などをつくったり、腸との癒着の原因になったりします。

症状としては、90%近くが月経時に月経痛を訴えます。月経時以外では下腹部痛が70%と多く、次いで腰痛、性交痛、排便痛などがあげられます。

子宮内膜症で特に見過ごせないのが、不妊です。50%近くに見られます。

検査は、内診、超音波、MRIなどの画像診断、卵巣がんで異常値が出る血清CA-125値を調べます。

治療は症状や年齢、妊娠の希望などに合わせ、経過観察、薬物療法、手術、不妊治療が行われます。

痛みに対しては、対症療法として、非ステロイド性消炎鎮痛剤を使用します。これだけで十分でない場合は内分泌治療を行ない、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬など適切な薬剤を投与します。

子宮内膜症は良性の疾患ですが、卵巣チョコレートのう胞は0.7~1.6%の確率で悪性に転化し、卵巣がんを発症することがあります。経過観察する場合でも3カ月に1度は受診しましょう。

薬物治療中に痛みが強くなってきた場合には薬を変更するか、手術をする必要があります。