流産とは妊娠22週未満の妊娠の終了を言います。妊娠の約15%に見られ、その多くは、妊娠12週未満の胎芽(たいが/胎児になる前の赤ちゃん)または胎児のときに子宮内で死亡する初期流産です。このうち、特に問題になるのが、稽留(けいりゅう)流産と不全流産です。

稽留流産というのは、胎芽または胎児が子宮内で死亡後、母体に症状もなく子宮内に停滞している場合です。

不全流産とは、流産により出血などの症状があるものの、子宮内容が完全に子宮外に排出されていない流産をいいます。

流産の原因の50~70%は受精卵の染色体異常が原因とされます。自然淘汰現象の一つとされ、それを回避することは不可能とされます。

受精卵に生じる異常は突発的なもので、次回の妊娠についての影響をあまり心配する必要はありません。

治療法としては、肥厚した子宮内膜などの子宮内容物を完全に処理する子宮内容除去術と、経過を見ながら子宮内容物が自然に排出されるのを待つ待機的管理とがあります。

子宮内容除去術は安全な手術です。生命に危険が及んだり、後遺症を残したりするようなことはまずありません。ただし、手術なので、ごくまれに子宮内容物が完全に排出されない子宮内容遺残、子宮を傷つける子宮穿孔(しきゅうせんこう)、子宮頸管裂傷、子宮内感染などを合併することがあります。

待機的管理は通常の月経かそれより多い出血が見られ、月経痛のような痛みとともに子宮内容物が排出します。出血が特に多いときはすぐに受診しましょう。最終的に超音波検査で子宮内がきれいになったことを確認します。手術よりも子宮内容遺残が起こりやすいといわれます。