胞状奇胎とは、精子と卵子の受精の過程の異常によって発生し、妊娠時の胎盤を構成する絨毛という組織が水腫化し、ぶどうの房のように子宮内に広がる病気です。

胎盤絨毛のすべてが水腫化する全胞状奇胎(全奇胎)と、胎盤の一部が水腫化する部分胞状奇胎(部分奇胎)の2種類があります。

超音波検査などで診断します。確定診断は手術治療後の子宮内容の病理組織検査で決定します。

胞状奇胎を放置すると、急な大量性器出血や腹痛に見舞われるおそれがあります。早急な治療が必要です。

治療は、子宮内容除去手術を行い、子宮内に広がった胞状奇胎組織を完全に取り除きます。

全奇胎の10~20%、部分奇胎の1~4%程度の割合で侵入奇胎という病気が発生します。稀ですが、絨毛がんという悪性腫瘍が発症することもあります。したがって、手術後は定期的に通院し、血液中のhCGというホルモン検査を受けることが必要です。

hCG値が下降して正常値になれば問題ありませんし、妊娠することも可能です。

hCG値が下がらなくなったり、上昇した場合は、侵入奇胎や絨毛がんが発生していないか精密検査を行います。もしこれらの疾患と診断された場合は、抗がん剤による治療が必要になります。