前置胎盤とは、胎盤が胎児の出口である子宮口をふさいでいる状態をいいます。1,000人に3~5人の割合で発症します。

原因は、受精卵が子宮の下部に着床するためと考えられています。帝王切開術や、流産・中絶で子宮内容除去術を受けたことがある女性、多産、高齢、喫煙習慣のある女性に比較的多く見られます。

お腹のはりや痛みなどの前触れもなく突然出血することがあります。多量の出血が起き、母体を救命するため、未熟な胎児を出産せざるを得なくなることもあります。

妊婦健診を受けていれば前置胎盤はわかります。詳しい検査は、腟からの経腟超音波検査が正確です。

妊娠20週ころに前置胎盤であっても、子宮が大きくなるにつれて胎盤は移動し、最終的に70~80%は前置胎盤でなくなります。

妊娠30週を過ぎても前置胎盤の場合は、妊娠32週までに緊急事態に対応できる高次医療機関を受診します。

前置胎盤の場合は帝王切開での出産になります。妊娠37週末までに帝王切開を行います。ただし、出血リスクが低ければ妊娠38週台に帝王切開を計画することもあります。

出産に備えて、自分の血をとってためておくことも可能です。前置胎盤の場合は帝王切開時に大量出血を起こす可能性があるからです。また、胎盤が子宮から容易にはがれない癒着胎盤が起きると出血量はさらに増します。ときには子宮を摘出しなければならないこともあります。

手術前からの万全な準備が前置胎盤の妊娠管理には必要です。それによって大量の出血を防ぎ、不要な子宮摘出などを回避できます。