萎縮性腟炎とは、卵巣から分泌される女性ホルモン量が低下するため、腟壁が萎縮して腟や外性器に炎症を起こす病気です。

閉経後の女性では多くがこの疾患に近い状態にあります。無症状だったり、症状が軽かったりして、必ずしも治療の必要はありません。

腟の乾燥感、性交時痛、外陰部の痒み、頻尿、不正性器出血、おりものの増加などの症状がある場合や、更年期症状が強い場合には治療を行います。

症状と腟内や外陰部の所見で、診断は比較的容易です。

多くの場合、薬によって症状は軽快します。治療には女性ホルモンを使用し、更年期障害を伴う場合にはホルモン補充療法を行います。

ただし、重度の肝疾患、乳がんや子宮体がん、原因不明の不正性器出血、血栓性静脈炎、血栓塞栓症、心筋梗塞、狭心症、脳卒中などがある場合にはホルモン補充療法は行えません。

女性ホルモンの一つであるエストリオールの使用では、子宮がんになる頻度は通常と同じ程度です。ただし、1年に1度は子宮がん検診を受け、さらに経腟超音波検査を受診する必要があります。

ホルモン補充療法を行う場合は、医師の指示した時期に再診させていただきます。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 不正性器出血を認めた場合は、必ず産婦人科を受診しましょう。