中耳は、鼓膜の奥にある洞窟のような部分です。この中耳が細菌やウイルスに感染して炎症を起こすことを中耳炎といいます。中耳炎を繰り返しているうちに、鼓膜に開いた穴(鼓膜穿孔=こまくせんこう)が閉じなくなる場合を慢性中耳炎、または慢性化膿性中耳炎といいます。

症状は、鼓膜穿孔から膿が出ます。これを耳だれといいます。正常の耳に比べて聴力が悪化します。

外来における薬物治療でも耳だれは止まります。しかし、治癒したわけではありません。根治をめざすには、手術で鼓膜穿孔を閉鎖し、鼓膜や鼓室をもとのような形につくりなおす鼓膜形成や鼓室形成を行って、聴力の低下を防ぎます。同時に鼓膜の裏にくっついている耳小骨の動きをよくして聴力を改善していきます。

鼓室形成術で、鼓膜の穴が閉じる割合は90~95%、聴力が改善する割合は80~90%です。

術後、耳内が乾燥するまでに1~2カ月かかります。その間、飲酒、過度の運動、旅行、耳に水を入れることなどは避けましょう。

鼓膜形成術をしても、20人に1~2人は鼓膜の穴が再び開きます。しかし再度手術すれば鼓膜閉鎖は可能です。

補聴器の装用を選択した場合は、鼓膜に穿孔があると耳内が湿り、内耳(中耳よりも奥の部分)に直接音が入るので聞こえが悪くなることがあります。