耳硬化症は、耳の奥の内耳周辺の骨が変性したり新しくできたりして、内耳に接するアブミ骨が固定し、音が内耳に伝わりにくくなる病気です。

環境因子と遺伝因子の両方が作用しているといわれますが、まだ原因は不明です。難聴が徐々に進行していきます。

病気そのものを治す薬はありませんが、手術により聴力を改善することができる、数少ない耳の病気です。固まったアブミ骨を摘出あるいは開窓して代用アブミ骨と入れ替える手術です。

手術のためには検査が重要です。聞こえを評価する純音聴力検査がもっとも大事です。この検査によって伝音難聴(*)の程度を評価します。

耳硬化症に内耳障害を伴う迷路性耳硬化症になると感音難聴(**)が加わり、難聴はさらに進行し、高度難聴になることもあります。

聴力によっては、埋込式骨導補聴器や人工中耳などを使用する方法もあります。

手術をしない場合は、難聴に対しては補聴器を使用します。難聴が進行し、不自由度が増した時点でアブミ骨手術をしても遅くはありません。たとえ感音難聴成分が進んでも補聴器の装用効果を高めることができます。

*伝音難聴:外耳および中耳の伝音機構に障害が起こって聞こえが悪くなるケースをいいます。

**  感音難聴:音を感じる内耳から聴覚中枢までの経路に障害が起こって聞こえが悪くなることをいいます。