非常に大きな音を聞いて、一瞬にして音を感じる細胞が障害され、耳鳴や難聴が起きることを音響外傷または急性音響性難聴といいます。

音響外傷は一定の条件で起こるものではありません。人によって、その時によって同程度の音でも音響外傷が生じる場合と生じない場合があります。

一方、騒音性難聴は、強い音を長い年月聞き続けて起こる難聴です。職場で生じることが多いことから、職業性難聴ともいいます。

騒音性難聴は、耳鳴りを伴うこともあります。最初は高い音が聞こえにくくなりますが、人の声は聞こえるので難聴に気づかず、徐々に進行して会話が聞き取りにくいといった症状が現れてはじめて気づくことが多くあります。

音響外傷では、早期の治療が大切です。時間がたって難聴が固定してしまったあとでは、回復は困難になります。

音響外傷の治療の中心は、副腎皮質ホルモンの投与です。十分な量で治療を開始し、徐々に薬の量を減らしていきます。

強すぎる音は可能な限り避けてください。避けられない場合は、耳栓を使ったり、聞く時間を短くしてください。

強い音を聞いたあとに、耳鳴や耳がつまった感じがあるときは、放置せずに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

騒音性難聴はいまだに有効な治療法がありません。ただし、騒音を管理したり耳栓等を適切に使用すれば、発症の予防や進行の防止が可能です。

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