鼻にある空気の通り道を鼻腔といいます。この鼻腔とつながっている顔の骨の中の空洞が副鼻腔です。副鼻腔真菌症は、副鼻腔に真菌が増殖して、塊をつくり、強い炎症が起こったものです。糖尿病や血液の病気があると、発症しやすくなります。

炎症が副鼻腔に限って起きている非浸潤型と、周囲の組織にまで広がっている浸潤型に大別されます。

非浸潤型は、これといった症状は現れず、健康診断時に見つかることがほとんどです。長期間、放置しておくと浸潤型に移行することがあります。

浸潤型は、きわめて重篤であることが多く、最悪の場合、死に至ることもあります。

副鼻腔CT検査で、片方の副鼻腔に白っぽい陰が認められると副鼻腔真菌症が疑われます。

治療の第一選択は、手術療法です。鼻の孔から内視鏡を入れ、副鼻腔の様子を観察しながら処置を行う方法(内視鏡下副鼻腔術=ESS)が広く行われています。真菌の塊を摘出するとともに、炎症を起こしている粘膜や鼻茸を取り除いたり、自然孔を大きく開いたりします。

糖尿病や血液の病気にかかっている場合は、抗真菌薬を投与しながら全身の管理をしっかりと行います。