唾液をつくる腺を唾液腺といい、耳下腺、顎下腺、舌下腺(ぜっかせん)、小唾液腺に分けられます。

唾液腺腫瘍は唾液腺に生じる腫瘍をいい、代表的なものに耳下腺腫瘍、顎下腺腫瘍があります。

耳下腺腫瘍は70~80%は良性腫瘍です。しかし、このうち、多形腺腫という種類の腫瘍は、長期に放置しておくと、サイズが大きくなり悪性に転化することがあります。

顎下腺腫瘍の場合は、30~40%は悪性腫瘍です。

主な症状は耳の下や顎の下の腫れやしこりです。小唾液腺腫瘍の多くは口腔にみられます。

腫瘍の良性、悪性を判断するには、MRI検査、エコー検査、すべてではありませんが腫れやしこりのある場所に針を刺して細胞を吸引して調べる穿刺吸引細胞診(FNA)を行って診断します。

唾液腺腫瘍の治療は、手術による腫瘍の摘出が基本となります。悪性腫瘍の場合は腫瘍の切除と同時に顔面神経の切除も行われます。その場合は神経縫合や神経移植手術が行われます。

悪性腫瘍では、退院後も、局所再発やリンパ節転移や肺や脳などへの遠隔転移の可能性があるので、定期的に外来を受診しましょう。