外側が薄い膜で覆われたこぶ状の塊をのう胞といいます。頸部にのう胞ができる病気を総称して頸部のう胞性疾患といいます。これには正中頸のう胞、側頸のう胞などがあります。

正中頸のう胞は、赤ちゃんが母体内にいる胎生期に甲状腺が頸部に下りていくときに存在する甲状舌管という管が消えず、出生後も残り、うみがたまったものです。

正中頸のう胞の場合は、ごくまれに乳頭がんに移行することがあります。

側頸のう胞は、胎生期にできた鰓裂(さいれつ)と呼ばれる遺残物にうみがたまったものです。

いずれも腫れ以外ほとんど症状はありません。感染を起こすと、痛みや発熱がみられます。

検査では、超音波で内容物を検索し、針を刺して細胞を取る穿刺吸引細胞診を行い、診断します。

痛みや発熱が見られるときは、局所のうみを取り除き、抗菌薬を服用します。

感染を繰り返す場合や、美容的に気になる場合、悪性腫瘍との区別がつかない場合は、甲状舌管を取る手術をします。