外傷性の耳の障害には、外部の圧力によって鼓膜が破損する鼓膜穿孔(こまくせんこう)、中耳にあり耳かきなどでも損傷しやすい耳小骨(じしょうこつ)損傷、内耳につながるアブミ骨の脱臼があります。

鼓膜穿孔の場合は、自然に破損部分が閉鎖する可能性が80%以上あるので、1~2カ月、経過を観察します。この間、風邪などの感染症を予防しましょう。

耳小骨損傷の場合、めまいなどの内耳障害が疑われる場合や経過を観察して聴力の改善がみられないときは鼓室形成術を行います。聴力の予後は一般に良好です。

アブミ骨の脱臼が明らかな場合は早急に手術をします。聴力やめまいの予後は一般に良好ですが、気腫(空気がたまった状態)が蝸牛(かぎゅう:聴覚をつかさどる感覚器官)に生じたときは、聴力の回復は思わしくありません。

めまいや感音難聴(振動が音として認知される段階に障害がある難聴)がある場合には内耳障害が疑われます。入院治療し、ときに手術を行うことがあります。

突然起きる難聴・耳鳴り・めまいから内耳疾患である外リンパ瘻が疑われる場合には、入院して安静にし、感染を予防し、ステロイドの投与を行います。