側頭骨骨折は、耳の周りの骨の骨折です。耳の周りには重要な臓器があり、それらが障害されることがあります。

側頭骨骨折による障害としては、鼓膜に穴が開く鼓膜穿孔症(こまくせんこうしょう)、音を伝える骨がはずれる耳小骨離断(じしょうこつりだん)、聞こえのセンサーである内耳のリンパ液が漏れる外リンパ瘻(ろう)、顔を動かす神経が障害される顔面神経麻痺などがあります。

耳性髄液漏は側頭骨骨折がもたらす障害の一つです。側頭骨骨折により、脳脊髄液が耳の穴に漏れ出てくる状態です。

診断は、CT検査を行い、その後全身の状態が落ち着いたところで、聴覚検査、平衡機能検査、顔面神経機能検査などを行って下します。髄液漏が疑われる場合は耳内の液体を採取して検査します。

耳性髄液漏、外リンパ瘻、高度の顔面神経麻痺の場合は、入院して点滴治療を行い、薬で改善が見られない場合は、手術が必要になることがあります。

鼓膜穿孔症や耳小骨離断などは手術を急ぐ必要はなく、半年から1年の外来での経過観察後、改善が見られない場合に手術が検討されます。