口腔内の腫瘍には、エナメル上皮腫、角化のう胞性歯原性腫瘍、歯牙腫、乳頭腫、線維腫、骨腫、エプーリス、義歯性線維腫などがあります。

いずれも、初期は無症状で自覚に乏しく、セルフチェックも難しく、発見は遅れがちです。歯科治療時の画像検査で偶然発見されることが少なくありません。

発症年齢は、エナメル上皮腫は20~40歳代で下顎に発生することが多く、角化のう胞性歯原性腫瘍は10~20歳代で下顎智歯部から下顎枝にかけて発生し、歯牙腫は10~20歳代の上顎前歯部や上下顎大臼歯部に発生します。

慢性刺激による反応性増殖物で舌、口蓋、頬粘膜などに起きるのは、高齢者に多い乳頭腫や壮年者に多い線維腫です。

骨腫は、反応性の骨増殖で真の腫瘍ではありません。30~50歳代の頬骨に発生、エプーリスは20~30歳代の歯間乳頭部に発生します。

エナメル上皮腫、角化のう胞性歯原性腫瘍は、かつては病変ともに、顎骨切除が行われてきましたが、今は機能を保存する手術が功を奏してきました。腫瘍は良性ですが、再発の可能性が高いので経過観察します。

歯牙腫は切除すれば予後は良好、再発もありません。乳頭腫、線維腫も切除すれば、おおむね予後は良好です。

骨腫は無症状の場合は経過観察し、発音障害や摂食障害などが見られるときは外科的に切除します。エプーリス、義歯性線維は外科的に切除します。