中咽頭悪性腫瘍は、のどにできるがんの一つで、最近、増加傾向にあります。

喫煙や飲酒が原因のがんと、ウイルスが原因のがんの2タイプがあります。前者は予後不良ですが、後者は、化学療法や放射線治療がよく効いて、予後は良好です。

悪性リンパ腫と似ているので、鑑別するために組織の一部を採取して顕微鏡で調べる生検が行われます。中咽頭悪性腫瘍の治療方針の決定には、HPV(ヒトパピローマウイルス)関連の有無が重要になります。

早期のがんで、口内法切除(拡大扁桃腺摘出術など)ですむ場合は、HPVに関係なく手術が行われます。手術前日までに入院します。手術後はしばらく食事ができず、経鼻胃管または中心静脈栄養が必要になります。

放射線治療の場合は、外来でも治療は可能です。治療後半で粘膜炎がひどくなると経口摂取が難しいので入院管理が必要になります。

化学療法の場合は入院して治療します。多くの場合、24時間の点滴が必要です。また化学療法に伴う発熱や腎機能障害などに対応するためにも入院は必要です。

腫瘍がある程度大きい場合の手術や、手術後に再建術を必要とする場合の手術では、治療後のQOL(生活の質)も考慮して治療方法を決定します。