脊髄は脊椎によって守られていますが、時に腫瘍が脊椎を壊し、脊椎が体を支えられなくなったり、脊髄を圧迫することがあります。

最初に現れる症状でもっとも多いのは背部痛です。特に激烈な痛みは、圧迫骨折の可能性があります。痛みは首から肩甲骨、腕や肋骨の間に現れます。臀部や下肢にも痛みを感じることがあります。

脊髄神経が圧迫されることで、下肢のしびれ、歩きにくい、感覚が鈍い、尿が出にくいなどの神経障害が出現することがあります。進行すると、まったく下肢が動かず感覚がわからない完全麻痺に陥ることもあります。

脊椎のMRI検査、単純X線検査、CT検査、脊髄造影検査、骨シンチグラフィー、PET検査、髄液検査などで診断します。

鎮痛薬、ステロイド投与、脊髄の減圧・脊椎の固定を目的とした手術、放射治療の中から、病状に応じた治療法が選択されます。特に、手足に力が入らない、歩きにくいといった神経障害がみられる場合は、ステロイド投与となります。また、腫瘍の種類によっては、抗がん剤が用いられることもあります。

適切な診断と治療により、良好な経過をたどるケースは多くあります。

脊髄は、ある一定以上の障害を受けると、二度と元の状態に戻りません。したがって、早期診断、早期治療が予後に大きく影響します。急激な背部痛に見舞われたり、しびれや歩行困難などが現れる、あるいは進行するといった場合は、すぐに受診してください。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 背部痛がひどくなるような姿勢や作業は避けましょう。なお、コルセットなどの固定具は背部痛に有効かどうかは、十分な検討がされていません。