血液中のマグネシウム濃度が高い病気を高マグネシウム血症といいます。

腎機能障害が比較的高度の患者さんで、マグネシウムが含まれている胃薬や下剤を減量せずに使用している場合に多く発症します。また、妊娠中毒症の一つである子癇前症や、その発作の子癇の治療でマグネシウム製剤を注射された場合にも発症することがあります。

一般に、血中のマグネシウム濃度が4~6mg/dLを超えると症状が現れます。

症状は、低血圧、吐き気、嘔吐、顔面紅潮、尿閉、昏睡、徐脈などです。血中マグネシウム濃度が10mg/dLを超えると、四肢麻痺、心停止など危険な状態に陥ることもあります。

血中のマグネシウム濃度を測定します。鑑別のため、腎機能評価や尿中マグネシウム、甲状腺ホルモン、副腎皮質ホルモンなどの検査を行うこともあります。

腎機能が比較的保たれている場合には、マグネシウム製剤の中止のみでよくなることがほとんどです。外来での治療となり、1~2週間後に再受診します。その際、原因を探るため、甲状腺ホルモンや副腎皮質ホルモンなどの内分泌検査を行うことがあります。

腎機能障害が比較的高度な場合には、入院のうえ、一次的な血液透析などを行います。

高マグネシウム血症が高度で、呼吸不全や房室ブロック*などが認められる場合にはICUでの集中治療が必要となります。

房室ブロック:心房と心室の間に電気的な障害があり、心室に電気刺激が伝わらなくなって脈が遅くなる状態