発育期に投球動作を繰り返し、肘に障害が起きることを総称して野球肘といいます。

野球肘では、発育途上の骨軟骨が障害されることに特徴があります。もっとも多くみられるのが内側上顆障害(ないそくじょうかしょうがい)です。内側上顆とはいわゆる肘の内くるぶしを指します。次いで多いのが、肘関節の軟骨が剝がれた状態になる離断性骨軟骨炎です。関節ねずみは、軟骨のほかに、骨片などが正常な位置を離れて関節内を動く状態をいい、関節遊離体とも呼ばれます。

主な症状は、障害された部位の痛みです。離断性骨軟骨炎の初期には、症状に乏しいのが特徴です。

内側上顆障害の多くは、予後は良好です。離断性骨軟骨炎では病状が進むと予後不良になることが少なくありません。

X線検査を行い、病期を診断します。

病期にかかわらず症状がある間は、投球は中止します。

離断性骨軟骨炎では通常、初期と進行期には投球を休んで肘を使わないようにする保存療法、終末期には手術が選択されます。保存療法で回復しない場合も手術が行われます。保存療法では、画像で修復が確認できるまで投球を中止します。治療には1年以上かかる場合がほとんどです。

離断性骨軟骨炎では、症状が治まっても障害が治っていないことが多くあります。定期的に受診してください。また、手術をした場合は感染予防と適切なリハビリテーションが必要です。

関節ねずみの治療の基本は、手術で剝がれた軟骨や骨片などを取り除きます。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 離断性骨軟骨炎では、カバンも持ってはいけません。持つのは箸と鉛筆だけにしましょう。