肘関節の内側に突出した部分、いわゆる肘の内くるぶしを上腕骨内側上顆(じょうわんこつないそくじょうか)といいます。この部分が上腕骨本体から離れる骨折が上腕骨内側上顆骨折です。

骨がずれ、癒合しないと肘の内側の痛み、肘関節の不安定や屈伸の障害、手の筋肉や薬指・小指の知覚を支配する尺骨神経の障害まで出てきます。

上腕骨内側上顆骨折は転倒して手をついてひねったり、肘関節を脱臼して起こることがほとんどで、小児によくみられます。また、少年野球で全力投球を繰り返すことで内側上顆がはがれて骨折することもあります(リトルリーグ肘)。

まったくずれのない場合は、ギプスで固定します。ただし、経過中にずれを生じることあるので、毎週受診してチェックします。仕事などの制約でギプス固定ができない場合は、ずれがなくても手術を行って固定することがあります。

保存療法の場合、1~2週ごとに外来で観察し、骨折がずれていないかを確認します。ずれがなく骨が癒合すれば、3週過ぎから肘の運動訓練を開始します。

ずれが大きい場合は入院のうえ手術を行い、骨片を元の位置に整復し、鋼線やスクリューなどを用いて固定します。痛みを鎮痛剤でコントロールできれば、早くて手術の翌日には退院できます。

退院後は、数日~1週ごとに手術の創や肘の状態に異常がないか外来で観察します。術後、3週前後で肘から手関節はギプスで固定されます。

ギプスで固定されていても、痛みのない範囲で、洗面、トイレ、食事などの動作で手指や肩を使ってもかまいませんが、力仕事やスポーツは許可があるまで控えてください。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 入浴の際はギプスを濡らさないように注意しましょう。
  • 変わったことが生じたら、必ず医師に伝えましょう。
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