前腕には2本の骨があり、そのうち親指側の骨を橈骨(とうこつ)と呼びます。手首辺りの橈骨の骨折を橈骨遠位端骨折といいます。

橈骨遠位端骨折は、小児や高齢者が転倒して手をついて起こることが多くみられます。

手首が強い痛みとともに腫れてきます。

手関節のX線検査を行います。骨折のずれの程度を診たり治療方針などを決めるためにケガをしなかったほうの手関節のX線検査を行うこともあります。関節内骨折が疑われるときにはCT検査も追加されます。

骨折のずれが少ないときにはギプスで固定します。

ずれが大きい、あるいはギプス固定をしてもまたずれてきてしまうような場合は、手術で骨折部を金属の固定材料を用いて固定します。

ギプス固定中でも骨折部が再度ずれることがよくあります。この場合は手術が必要となるため、定期的に受診し、X線検査を受けることが大切です。

骨折の治る期間はギプスでも手術でもそれほど変わりません。個人差はありますが、おおよそ小児で3~6週間、大人で4~7週間です。

骨折部が曲がって治ると、手首の辺りが変形したままになり、手関節の動きが悪くなったり、痛みが残ったりします。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 骨折した手首は心臓よりも高く挙げ、ギプス固定中は肩、肘、手指を、手術後はさらに手関節の運動を積極的に行いましょう。
  • 手指、特に親指、人指し指、中指にしびれが現れたときは、神経麻痺の合併が疑われます。医師に必ず伝えましょう。
  • 術後は、感染予防を心がけましょう。