手の狭窄性腱鞘炎には、指に生じる腱鞘炎と手首に生じる腱鞘炎があります。

指の腱鞘炎の主な原因は手指の使い過ぎです。ひどくなると引っかかりを感じ、ばね現象が生じるので、ばね指と呼ばれます。

診断は特徴的な臨床症状から下せます。単純X線検査を行うこともあります。他の疾患を疑うときは血液検査を行います。

ばね指は親指と中指に多く見られ、指の付け根の手のひら側を押すと痛み、その部分を触りながら指を動かすと、引っかかりを触れることができます。ひどくなると、手指の曲げ伸ばしができなくなります。

手首親指側の腱鞘炎は、ドケルバン病と呼ばれます。親指を広げようとすると痛み、ひどくなると痛みで親指が動かせなくなります。手首の親指側を押すと痛みます。

治療は、保存療法と手術療法とがあります。

保存療法は、患部の安静と注射です。軽症の場合は安静にするだけで改善することがあります。重症の場合は注射をします。ケナコルトというステロイド薬の注射が効果的です。すぐ効果が出る人もいますが、段階的に改善し、1カ月くらいかかる人もいます。

注射をした日は、その日だけ、注射した部位を濡らさないように注意しましょう。

再発するようなら受診しましょう。再発は、治療後3~6カ月に多く見られます。

再発を繰り返すようなら手術療法を選択することもあります。ただし、微妙なタッチが求められる音楽家などの職業の方は手術を避けるほうがいいでしょう。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • パソコンのキーボードや手を駆使する作業では、1時間に10~15分の休みをとりましょう。はさみなどの道具を使って指に強い負担がかからないように工夫しましょう。