絞扼性神経障害とは、末梢神経が、関節の近くで、腱性構造物(関節を保護する関節包、靭帯など)からつくられた線維性の管を通過するときに何らかの圧力が加わり、さらに関節運動などの刺激を受けて生じる神経障害です。手のひらを走る正中(せいちゅう)、橈骨(とうこつ)、尺骨神経の圧迫が見られます。

正中神経が圧迫される回内筋症候群では、肘前面の痛み、親指、人差し指、中指、薬指のしびれを生じます。

橈骨と尺骨の2つの骨の間をつなぐその前を走る前骨間神経麻痺では、しびれはありませんが、親指と人差し指でOKサインができなくなります。

橈骨と尺骨の2つの骨の間をつなぐその後ろを走る後骨間神経麻痺(回外筋症候群)では、しびれはなく、手首は伸ばせますが、手指が伸ばせません。

橈骨神経浅枝麻痺(とうこつしんけいせんしまひ)では、手の甲の親指側に痛み、しびれ、感覚障害を生じます。

治療には、保存療法と手術療法とがあります。

神経の圧迫がなければ保存療法を3〜6カ月続けます。保存療法で回復しないときや神経を圧迫する病変があるときは神経剥離術が必要です。

神経剥離術を行って1〜2年経っても運動麻痺が回復しないときは、他の腱を力源とする腱移行術を行います。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 日に数回、手を高く上げる。また、手指のすべての関節を動かす練習をしましょう。
  • 節酒・禁煙を心がけましょう。
  • ストレスを軽減しましょう。