後縦靭帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう)とは、本来なら背骨(脊柱)を安定させる軟らかい靭帯が骨化して増大し、脊髄を圧迫する病気です。主に、頸椎と胸椎に生じます。
後縦靭帯の骨化は数%の頻度で認められます。しかし、骨化があっても無症状で経過する場合も多く、すべてに症状が出るわけではありません。
症状としては手足のしびれがあります。箸を持ったり、字を書いたりすることが困難になったり、歩行障害が現れます。
頸椎後縦靭帯骨化症は50歳前後の男性に多く見られますが、原因は不明です。国の特定疾患に指定されており、公費負担の対象疾患です。
X線写真で偶然発見された無症状の後縦靭帯骨化症は経過を観察します。
脊髄症状を伴わない痛みに対しては、鎮痛薬や筋弛緩薬の投与などの保存療法を行います。
脊髄症状があり、日常生活の支障が大きな場合や進行性の場合には、手術療法が検討されます。
頸椎後縦靭帯骨化症の手術療法には大きく、首の後ろ側を切る後方法と、前側を切る前方法があります。
胸椎後縦靭帯骨化症の手術療法は、頸椎後縦靭帯骨化症と同様に後方法と前方法があります。頸椎後縦靭帯骨化症に比べ、手術の合併症が多く、手術によって悪化する危険性もあります。
頚椎後縦靭帯骨化症の場合