急性腰痛症（腰痛）には、骨折やがんの転移、坐骨神経痛を伴う椎間板ヘルニアなど原因が明確な特異的腰痛と、受診する患者さんの原因となる病気が明確にしきれない非特異的腰痛があり、前者は約15％、後者が約85％を占めるとされています。
以下の場合は、特異的腰痛を疑います。
(1)安静にしていても腰がうずく場合は、受診して検査をしてもらいましょう。がんや感染症、急性大動脈解離、大動脈瘤破裂などの重篤な病気や、強直性脊椎炎という病気が隠れていることがあります。痛み止めの薬を飲んでもすぐにぶり返す場合も注意が必要です。
(2)強い痛みが、お尻からひざ下にまで広がるときは椎間板ヘルニアによる神経痛の可能性があります。
(3)肛門や性器の周辺がしびれて熱感をもつ場合や、足に脱力感がある場合は重い神経の症状が考えられます。
(4)転倒・転落など外傷後の痛みで日常生活に支障が出る場合は、骨折の可能性があります。
(5)ご高齢、またステロイド薬を治療で使っている方は、外傷がなくても骨折の可能性がありますので注意が必要です。
非特異的腰痛にはぎっくり腰、画像所見での変形性腰椎症や椎間板症などが含まれます。心配はいらない腰痛です。
特異的腰痛の場合はそれぞれの原因に応じた治療を行います。
ぎっくり腰（急性の非特異的腰痛）の場合は、次の点に注意しましょう。
痛みを我慢せずに鎮痛薬を短期間（数日程度）使っても構いません。ただし、胃が弱い、腎機能が悪い、気管支ぜんそくがあるという場合は医師に相談しましょう。副作用が心配な人はセレコキシブやアセトアミノフェンという薬を使用します。鎮痛薬を使っても頑固な痛みがぶり返す場合は、がんの転移など重篤な病気が原因かもしれませんので、MRIや血液検査を行うことをおすすめします。
精神的ストレスは回復を遅らせたり再発しやすくします。日ごろからストレスをためこまないよう努めましょう。