ケアのポイント ©エルゼビア・ジャパン

頚椎リウマチ病変:脊髄症状のある場合(基本的には手術前提)

担当医
どんな病気ですか?
関節リウマチに伴う頚椎の破壊により脊髄圧迫が見られ、それによる四肢不全麻痺(四肢のしびれや手指巧緻運動障害、歩行障害、膀胱直腸障害など)が起こっています。今後破壊の進行に伴って基本的に症状は増悪の方向に向かいます。脊髄圧迫による麻痺症状は、長く続くと手術で圧迫を取り除いても元には戻りません。
特に上位頚椎部での脊髄圧迫は軽微な外傷で呼吸麻痺による突然死など命に関わる結果を引き起こすことがあります。薬物治療では、破壊された関節を元に戻したり、脊髄の圧迫を解除したりすることは不可能で、麻痺が強い場合、急速に進行する場合には手術による脊髄の除圧と頚椎の固定が必要になります。
今後の検査などの説明
手術を前提に、頚椎の不安定性、破壊の程度、脊髄圧迫の程度などをレントゲン、MRI、CTなどで詳しく調べます。その後、手術しなかった場合の予後や手術の危険性などについて説明し、治療方針を決定します。
普段の生活で気をつけてほしいこと
自転車での転倒や階段からの転落などで頭に強い力が働いた場合、普通の人なら打撲だけで済む程度でも、永続的な四肢麻痺となって寝たきりになったり、最悪の場合には突然死したりする可能性もあります。極力注意してください。また、麻痺症状は元に戻らないため、四肢しびれや手指巧緻運動障害、歩行障害の急速な増悪がある時には、手遅れにならないよう緊急に手術が必要です。そのような症状が出現した場合には、いつでも直ちに再診してください。
更新日:2022/11/28
 
ケアのポイント ©エルゼビア・ジャパン

頚椎リウマチ病変:脊髄症状がなく、痛みだけの場合

担当医
どんな病気ですか?
関節リウマチに伴う頚椎の破壊により、後頭部痛、頚部痛が起こっています。起こってしまった破壊は元には戻りませんが、痛みは落ち着いてくる場合もあるので、まず保存的に治療します。
効果のない場合には、手術適応となることもあります。また、将来四肢麻痺が出現する場合もあり、その時には手術が必要になります。
今後の検査などの説明
現在何も神経症状はありませんが、念のためMRIで脊髄圧迫の程度を調べておく方が良いと思われます。脊髄圧迫が強い場合には、今後急速に麻痺が出現して寝たきりになったり、突然死したりする可能性もあるため、神経症状がなくても手術が必要となる場合もあります。脊髄圧迫のない場合には、痛みに対して保存的に治療します。
普段の生活で気をつけてほしいこと
これ以上の進行を食い止めるためには関節リウマチの薬物コントロールが最も大切ですので、きちんと薬物治療を続けてください。今後頚椎破壊が進行し、麻痺症状が出現する可能性もあります。四肢しびれや手指巧緻運動障害、歩行障害などが出現した場合には、直ちに再診してください。
更新日:2022/11/28
 
ケアのポイント ©エルゼビア・ジャパン

頚椎リウマチ病変:痛みも脊髄症状もないが、画像上脊髄圧迫の見られる場合

担当医
どんな病気ですか?
関節リウマチに伴う頚椎の破壊により、頚椎の不安定が見られ、それに伴う脊髄圧迫が起こっています。今後破壊の進行に伴って基本的に脊髄圧迫は増悪の方向に向かいます。脊髄圧迫により徐々に、時には急速に麻痺(四肢のしびれや手指巧緻運動障害、歩行障害、膀胱直腸障害など)が起こる可能性があり、一旦そうなるとたとえ手術で圧迫を取り除いても麻痺は戻りません。
特に上位頚椎部での脊髄圧迫は、軽微な外傷で呼吸麻痺による突然死など命に関わる結果を引き起こすことがあります。薬物治療では、破壊された関節を元に戻したり脊髄圧迫を取り除いたりすることは不可能で、圧迫を解除するためには手術が必要になります。しかし、手術には様々な危険性や合併症があるため、今すぐ手術をするかこのまま経過観察するかについては主治医と十分に相談する必要があります。
今後の検査などの説明
経過観察する場合でも、レントゲンやMRI検査をたまに行い、脊髄の圧迫が増強しないかどうかを監視することが必要です。
普段の生活で気をつけてほしいこと
自転車での転倒や階段からの転落などで頭に強い力が働いた場合、普通の人なら打撲だけで済む程度でも、永続的な四肢麻痺となって寝たきりになったり、最悪の場合には突然死したりする可能性もあります。極力注意してください。また、麻痺症状は元に戻らないため、四肢しびれや手指巧緻運動障害、歩行障害の急速な増悪がある時には、手遅れにならないよう緊急に手術が必要です。そのような症状が出現した場合には、いつでも直ちに再診してください。
更新日:2022/11/28