太もも(大腿)にある大きな骨が大腿骨です。この上端外側の出っ張り部分を転子部といいます。この転子部が骨折することを大腿骨転子部骨折といい、高齢者に起きやすい骨折です。

高齢者の場合、骨粗しょう症をもとに、転倒などにより起こります。

検査は、X線検査により両股関節正面像と患側軸写像を調べます。骨折がはっきりしない場合はMRI検査により診断します。また、3D-CTでは骨折による骨のずれ(転位)を把握します。

治療法は、全身状態が悪い場合や寝たきりの場合以外は、早期離床をめざして手術を行います。同時に炎症などの合併症の管理が大事になってきます。

術後の経過がよければ、術後2~3週間で転院して日常生活への復帰をめざし、歩行訓練などのリハビリテーションを行います。自宅退院は一般に、術後1~2カ月以降です。

退院後は、再転倒予防のために毎日20分は歩くようにしましょう。

整形外来を定期的に受診し、X線検査を行い、大腿骨近位部骨折の基礎となった骨粗しょう症の治療を行います。

手術をしても受傷前のレベルに回復するのは難しく、再び歩けるようになる割合は55~90%です。