股関節痛の原因としては、股関節の軟骨がすり減る変形性股関節症が代表です。その他、特発性大腿骨頭壊死症、関節唇(かんせつしん/関節の縁の軟骨部分)障害、軽い外傷による軽微な骨折などが考えられます。

変形性股関節症では一般に、歩行したり長時間立った姿勢でいると痛みが生じますが、ベッドなどで休んでいると痛みは感じません。しかし、炎症や進行が激しいときは安静にしていても痛みます。

股関節のお尻側や大腿部の痛みは、腰部からの関連で痛むことがあり、股関節の障害と見分けがつきにくいことがあります。

検査では、痛みの部位や股関節の曲がる角度(可動域)、歩く機能などを調べます。X線写真により股関節周辺の骨の状態や関節の軟骨の摩耗状態などをみます。骨頭壊死や骨折、関節周囲の炎症反応などが疑われるときは、MRI、CT、シンチグラフィーなどの検査を行います。

治療は、薬物療法や運動療法などの保存療法と、骨切り手術や人工関節などの手術療法があります。症状によって選択しますが、保存療法で改善できない場合は手術療法を行います。

筋力や可動域の維持のために、歩行訓練や股関節のストレッチは役立ちます。しかし、無理をすると逆に股関節痛を増悪させることもあるので、注意が必要です。

股関節の痛みが強いときは、歩行時に杖などを使用して股関節にかかる負担を軽くしましょう。

痛みが増したり歩行困難感が強くなったりしたときは早めに受診しましょう。