人工股関節置換術を行ったあとに、大腿骨(太ももにある骨)を骨折することがあります。通常の骨折より治療が難しくなります。

股関節から大腿骨の下部までCT撮影を行い、骨折部の状況を把握します。

治療には、保存療法と手術療法があります。骨折部のずれ(転位)が生じている場合は、手術療法が選択されます。いろいろな術法があり、骨折した部位や状況に応じて適切な方法が選ばれます。

手術治療では、合併症が発生する可能性があります。術中の合併症としては、神経・血管損傷、新たな骨折の発生、麻酔に関するトラブルなどがあります。術後には、骨癒合不全、術後感染、静脈血栓塞栓症、人工関節の緩み・摩耗・脱臼などがあげられます。また、左右の足の長さに差が生じることがあります。

術後は、下肢の筋力を強化する訓練や関節の可動域を維持向上させるROM訓練、歩行訓練などのリハビリテーションが必要です。入院期間は数週間から数カ月となります。

骨の癒合が得られたあとも、人工関節の緩みや摩耗などがないか、定期的に通院して検査していきます。