患者さんが訴える症状のうち、膝関節痛は全体の約15%を占めます。手足の関節の痛みは人口100人あたり、男性41.4人、女性71.4人です。

関節のすり合わせ部分にある関節軟骨がすり減って骨と骨がぶつかり合うようになり、関節を構成する靭帯や関節包がゆるんで引っ張られたり、圧迫されたりして、痛みが生じます。

中高年の膝関節痛を引き起こす病気として、変形性膝関節症、関節リウマチ、化膿性関節炎、結晶沈着性関節炎(痛風)、膝関節骨壊死(突発性膝関節顆部骨壊死)、結核性関節炎、半月板損傷などがあげられます。

変形性膝関節炎の患者さんの数は1,000万人以上と推定されています。

化膿性関節炎や結核性関節炎の割合は小さいですが、診断が遅れると治療が難しくなるので、これらの病気の有無を診断する必要があります。

膝関節痛のほかに、股関節の痛みや腰痛が伴うことがあります。これらの症状は股関節や腰椎の病気によることがあるので注意が必要です。

問診、視診、X線検査などから診断します。必要に応じてMRIが行われます。

病気に応じた治療が行われます。変形性膝関節症では、生活習慣の改善が有効です。特に肥満の場合は、減量が強く勧められます。太ももの筋肉を鍛えるなどの運動療法も有効でます。痛みに対しては、非ステロイド性抗炎症薬の投与やヒアルロン酸の関節への注入などが行われます。こうした保存療法で効果がみられない場合は、手術が検討されます。

関節リウマチでは、抗リウマチ薬が用いられます。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 体重が増えると関節への負担が増すので、太り過ぎないようにしましょう。