心臓の右心室から肺動脈へ血液が流れ出るところにある弁を肺動脈弁といいます。肺動脈弁狭窄は、肺動脈弁が生まれながらに狭いか、あるいは手術後長い年月が経って狭くなったために、血液をうまく心臓から送りだせない病気です。狭窄の程度によって症状は異なります。

狭窄が中等度から重度の場合は、疲れやすさと労作時息切れがあり、胸痛や失神を起こすこともあります。

狭窄が軽症~中等度の場合は通常、症状がありません。

症状のある中等度~重症の場合は、放置すると心不全を起こし、命にかかわります。薬による治療は効果ありません。手術で弁を取り換えるか、先端に風船をつけたカテーテルで弁を広げて狭窄を解除する方法をとります。

無症状で狭窄が軽症~中等度の場合は、すぐに治療の必要はありません。検査結果にもよりますが、2~5年ごとに心エコー(超音波検査)と心電図で経過観察していきます。心エコーで狭窄が進行して高度になった場合や症状が出た場合は、そのときに手術が必要になります。

手術が決まれば、呼吸器機能、肝機能、腎機能などの検査が行われます。年齢や合併している病気によってはカテーテルで心臓の中の血圧を測ったり、冠動脈のCTや血管造影が必要になることがあります。

手術までの間は激しい運動は避け、穏やかな生活を送るように心がけましょう。