胸部には心臓や肺、大きな血管(胸部大動脈)など生命を維持する重要な臓器があります。胸部に外傷を受けたときは、胸部臓器の損傷はもちろん、胸部以外の他の臓器の損傷も考えられます。

胸の痛み、呼吸困難、意識障害、皮膚や唇が青紫色になるチアノーゼなどの症状がみられます。

全身状態をみながら、慎重に胸部X線検査や超音波検査、CT検査などを行います。

全身状態が不安定な場合は、胸部以外の臓器も損傷した可能性があります。すぐに救命のための手術、輸血、鎮静などが必要になることがあります。

全身状態が比較的安定している場合も、胸部以外の臓器の損傷が絶対にないとは言い切れません。損傷の具合を診て、評治療方針を立てます。今後、救命のための手術、輸血、鎮静などが必要になることもあります。

胸部外傷のほとんどは、緊急処置などによって状態が安定すれば、開胸して手術を行うことなく治療を始めることが可能です。ただし、損傷臓器や損傷状態、全身の状態によっては、止血、損傷の修復などのための手術が必要になることがあります。

手術を行わず、保存治療のみで経過観察する場合でも、初回の検査でははっきりしなかった損傷が遅れて判明し、遅発性出血などが生じ、手術や輸血、鎮静などが必要になることがあります。そのため、輸血を準備した状態で、経過観察をします。