シアン中毒は、青酸化合物が気体や液体または個体で体内に入り、毒性を発揮する中毒です。よく見られるのは繊維やゴムの燃焼などで発生したガスを吸い込む例です。

シアン中毒を起こすと、体内で酸素をうまく使えなくなり、脳や心臓など全身の臓器に悪影響を起こします。命に関わることもあります。

硫化水素中毒は、腐った卵のようなにおいがする気体で、汚水処理などの産業工程で出ることが多くあります。

硫化水素中毒になると、その毒性のために急激な意識障害を起こし、死に至ることがあります。

シアン中毒・硫化水素中毒の治療は、なにより迅速な治療が求められます。酸素を大量に投与し、同時に解毒剤を投与します。

シアン中毒・硫化水素中毒は脳を含めた神経系に対する影響が大きく、急性期を脱しても、数週間してから認知能力の低下やパーキンソン症候群などの神経精神症状を発症することがあります。これらが生じたときには、今のところ根本的な治療法はないといわれます。

自殺目的で青酸化合物の内服や硫化水素を吸入したときは、ほかの薬剤を内服していないかを検査します。

燃焼による青酸ガスでシアン中毒を起こしたときは、一酸化炭素中毒を合併していないかを検査します。

自殺目的の中毒の場合は全身の回復を待って精神科専門医の診察を受けます