診療行為の名称:脳脊髄液検査(腰椎穿刺)
髄膜炎や脳炎では、一般に脳脊髄液中の白血球が増えますが、これを確認する必要があり、確定診断には必要不可欠な検査です。また脳神経疾患では、蛋白、病原物質の増加や特殊な抗体の検出などで診断に重要な情報が得られることがあります。
治療・検査の内容
この検査を行うことにより髄膜炎、脳炎の確定診断ができる場合があり、治療を迅速に開始できます。また、脳神経疾患では、病気の診断にとって参考になる所見が得られることがあります。
① ベッドの端に、術者を背に向けて側臥位をとってもらいます。
患者様は、両膝を抱えて自分のヘソをのぞき込むような体勢をとります。
② 腰背部を消毒液で十分に消毒し、消毒した部分に穴の空いた清潔(無菌)シーツを被せます。
③ 腰背部皮膚から細い針を穿刺し皮下まで局所麻酔を行います。
患者様は、両膝を抱えて自分のヘソをのぞき込むような体勢をとります。
④ 穿刺針を刺入してくも膜下腔まで進め、脳脊髄液が自然に流出してくるのを待ちます。
検査時間は、脳脊髄液の流出具合によります(流出速度が遅いと検査時間も長くなります)。
⑤ 採取量は検査の目的で異なりますが、5~10mL前後採取して終了です。
⑥ 検査後は1時間程度の安静臥床が必要です。
治療・検査の注意事項(療養上の注意点、予後など)
次の4に掲げる合併症が起こる場合があります。該当する症状が現れたときは、適切な処置を行います。
Ⅰ.比較的頻度の高いもの
① 頭痛:発症頻度10~15%。前頭部や後頭部、または頭全体や眼窩後部に、始めは鈍いし
めつけ感やズキズキする痛みで始まり、立位で強くなり、嘔気・嘔吐・冷汗を伴うことがあり
ます。
多くは検査後48時間以内に始まり、1週間程度持続します。
Ⅱ.稀なもの
② 脳ヘルニア
③ 硬膜下血腫、クモ膜下出血、硬膜外血腫
④ 対麻痺
⑤ 脊髄内類上皮嚢胞
⑥ 複視
⑦ 感染症:髄膜炎、その他
⑧ 脊髄神経根性疼痛
代替手段と危険性
(1) 代替可能な検査・治療とそれに伴う危険性とその発生率
代替可能な検査はありません。
(2) セカンドオピニオン
治療の進行状況や治療選択などについて、現在診療を受けている医師とは別の医師に
意見を求め、患者様が納得した上で治療法を決めることができます。セカンドオピニオンを
希望される場合は、必要に応じて適切な院内診療科あるいは外部の医療機関を
紹介することができます。
検査・治療を行わなかった場合に予想される経過
診断を確定するために必要な情報が得られずに、不利益を被る可能性があります。
とくに髄膜炎・脳炎が疑われて検査を実施しなかった場合は治療の開始が遅れて生命に関わります。
その他
① 検査終了後少なくとも2時間は、トイレなどどうしても必要な場合を除いて、立ったり座ったり
せずに安静に寝ていてください。
② 検査終了後、可能であれば水分を多めに摂取してください。
③ 検査をした日は、入浴は控えてください。
④ 合併症などを起こした場合には適切に対処します。
⑤ 変形性腰椎症や腰椎の手術後などの場合には、検査が難しい場合、途中で中断する場合
があります。