肝臓の病気(主に肝硬変、門脈圧亢進症)と診断されており、動く時の息切れの程度が強くなった、顔色が悪くなった(チアノーゼ)と感じた場合に主治医にご相談下さい。

肝臓の病気だけでも、栄養状態が悪くなったり(肝臓は身体のタンパク合成をする臓器ですので、その機能が低下するとアルブミン、タンパクなどをつくる力が低下してきます)、腹水がたまったりすると、疲れやすくなり、動くときに多少息苦しさを感じます。肝肺症候群の症状はゆっくりと出現します。突然には出現しません。普段の運動不足もあるかもしれませんが、半年前と比べて動いた時の息切れの程度が強くなったかなと感じた時に、医療機関受診の際に指先に機器をつけて酸素飽和度を測定してもらうと良いと思います。この酸素飽和度の値が下がっているようであれば、さらに検査が必要になるかもしれません。

肝臓の病気がある時に、おそらく肝臓での解毒作用が弱くなり、結果として肺の毛細血管が拡がってしまう病気です。肺の毛細血管が拡がると、空気中の酸素を身体の中に取り入れる機能が低下してしまい、身体が低酸素状態になってしまいます。これが肝肺症候群です。

指で図る酸素飽和度、胸部X線検査、心電図、細かいところまで測定する肺機能検査、動脈血液を採取して酸素と炭酸ガス分圧の測定検査、特殊な心臓超音波検査、胸部の造影CT検査などが必要な場合があります。心臓カテーテル検査が必要な場合もあります。

動脈血液中の酸素分圧の値で、特に治療をしないで様子をみる場合、在宅酸素療法が必要になる場合、さらなる治療が必要になる場合などがあります。

残念ながら薬の服薬で改善が期待できない病気です。重症な場合生体肝移植治療を考慮する必要があるかもしれません。