後天性色素沈着症のなかで最も頻度が高く、シミを主訴に来院する患者の60%を占める(
図<図表>)。俗に「老人性のシミ」と呼ばれ、臨床症状は日光裸露部に生ずる境界鮮明な円形から類円形の淡~黒褐色斑で、点状のものから貨幣大のものまである。欧米ではsolar lentigoと呼ばれ、森岡が命名した光線性花弁状色素斑
(図<図表>)もsolar lentigoと同じである。また扁平な脂漏性角化症(老人性疣贅)(
図<図表>)が老人性色素斑と呼ばれることもあるが、病理学的には両者は異なる。つまり老人性色素斑は病理学的に光線性花弁状色素斑やsolar lentigoに近いものと老人性疣贅に近いものの2種類に分類できるが、同一病変に両者が混在するものもあるため、臨床的には厳密にその区別ができないことも多い。