病歴:40歳代女性、20歳頃から両下眼瞼の隈が濃くなり、紫色調を帯びるようになった。生理前や疲れたときに濃くなるという。また30歳頃から両側のこめかみ部にも境界やや不鮮明な褐色斑が生ずるようになったため来院。
診察:両側のこめかみ部に境界やや不鮮明な褐色斑が存在し、両下眼瞼から鼻根部にかけて左右対照性に、灰紫色調の境界不鮮明な褐色斑が存在していた。
診断のためのテストとその結果:こめかみ部の皮疹だけをみると肝斑と間違われやすいが、境界がやや不鮮明で、やや灰紫色調を帯び、肝斑ではみられない下眼瞼に色素斑が存在する。また鼻根部にも境界やや不鮮明な淡い褐色斑がみられ、境界が鮮明である老人性色素斑とは異なる。念のため皮膚生検をしたところ真皮にメラノサイトが認められ、顔面真皮メラノサイトーシス(FDM)
(図<図表>) であることがわかった。
治療:下眼瞼の色素斑(目の下の隈)に対し、Qスイッチルビーレーザー照射を3~4カ月おきに計3回照射した。
転帰:下眼瞼の色素病変はほぼ消失した。鼻根部の皮疹は未治療なため、残存している。
a:レーザー照射前
b:レーザー照射3回後