メニエール病の治療に当たっては、患者のストレスマネジメントがきわめて大切になる。そこには心因的な要素がかなり絡んでいるため、ときとして心療内科的なアプローチが大切になる。
このような治療を半年以上行ってもめまい発作が頻回起こり、社会生活に使用を来すときにはじめて外科的治療の対象となる。ただし手術的な治療によっても再発することがわかっている。内リンパ嚢手術(Sac)では、短期の経過では、再発率は10~15%と成績がよいが、長期の経過では、30~40%に上がる。比較的侵襲の低い鼓室内ゲンタマイシン療法(GM)でも20~30%の再発が報告されている。中耳加圧療法(M)では25%であるが、聴力障害の改善には効果はないことがわかっている。前庭神経切断術(VN)と迷路破壊術(L)は再発率が10%以下であるが、身体への侵襲が大きく重篤な合併症の可能性があり、術後のしつこい前庭代償不全(平衡失調)を訴える患者もいるため、術後のリハビリには注意が必要である。
参考文献:
1)厚生労働省難治性疾患克服研究事業/前庭機能異常に関する調査研究班(2008~2010年度). メニエール病診療ガイドライン2011年版. p61-69, 金原出版, 2011.
2)van Sonsbeek S, Pullens B, van Benthem PP. Positive pressure terapy for Ménière''s disease or syndrome. Cochrane Database Syst Rev, 2015; 2015(3): CD008419.