認知症診断のポイントは以下の4点となる。
- 認知症があるかどうかを判断する
- 認知症がある場合は、アルツハイマー型認知症かそれ以外の認知症かを判断する
- 身体所見、画像診断、血液検査はあくまでも補助診断として、認知症と鑑別すべき疾患と治癒可能な認知症除外診断に使う。画像だけで診断をつけない
- 診断の基本は、本人・家族・介護職からの病歴聴取と状態観察である
- 認知症があるかどうかの判断には、病歴聴取と状態観察を基本に、MMSEまたは改訂版長谷川式簡易知能スケールを行う。その点数と状態を参考として、認知症があるかどうか判断をする。
- 認知症があると判断した場合には、アルツハイマー型認知症かどうかを判断する。そのためには、認知症の約半数を占めるとされている、同疾患の特徴を熟知しておくことが望ましい。アルツハイマー型認知症では初期には身体能力に問題なく、病識もなく、自省のない明るさが特徴であり、物取られ妄想などもよく見られる。また、認知機能の進行とともに身体機能も低下していく特徴もある。
- アルツハイマー型認知症ではないと判断した場合には、それ以外の認知症を呈する疾患かどうか、状態観察を進める。
- 脳血管性認知症では、画像診断で脳血管障害があり、その部位に一致した神経症状を認める。また、段階的に病状が進行することも特徴である。
- レビー小体型認知症では、認知機能が変動することがよく認められ、具体的な幻視を訴えることが多い。病状が進むとパーキンソニズムを呈してくる。
- 前頭側頭葉型認知症では、記憶障害は軽度なことが多く、性格変化や反道徳的行為もよく見られる。画像上は、前頭・側頭葉に限局性脳萎縮を見られることが多い。
以上のように診断を進めていくと、判断がつけやすい。